フレームオーダーって聞くと、知識が無いとだめだろう!とか、難しそう!とか、思われてしまっていますが。実はそんなことありません。要はこんな自転車が欲しいっていう思いがあればできます。店の人は、その想いを言葉や図面に変換してビルダーさんに届ける仕事を致します。ある意味翻訳者かもしれません。
ということで、フレームオーダーで自転車を作ってみました1 Hさんの場合 CornerBikes

Hさんは自転車歴5年目ぐらい。2台のカーボンロードバイクを乗り継ぎ、今乗っているロードバイクに満足しているものの、泊りがけのツーリングとかに行こうとすると、どうしても今のロードバイクでは不都合が。ということで、宿泊にも対応したツーリング車が欲しいとのご注文をいただきました。
Hさんの具体的な希望は

  • フロントバッグとサドルバッグが使いたい。
  • 走りは軽く 荒れた舗装路は行く。
  • 握力が弱いので、油圧ディスクブレーキと電動変速は必要
  • ツーリングのはまり具合によっては泥除けも付けたい。

というのが主な要望点でした。で、実はHさんは身長150cm強なんです。実はこれが難題なんです。
で、巷のロードバイクでフレームサイズ450㎜以下の物はたくさんあります。なので、小さいフレームサイズって問題ないと思われるかもしれません。実は、これが大変なんです。
フレームサイズって言われるシートチューブの長さは、実はスローピングをきつくすれば小さいサイズが可能なんです。大手ブランドさんには380mmとかのフレームがありますよね。で、何が本当に難しいかというと、トップチューブ長さなんです。上半身の長さって身長にある程度比例します。もちろん手の長さも。という事は150cm強の身長だと、ハンドル位置が170cmぐらいの身長の人に比べてかなり手前に来ないといけないっていう事なんです。で、トップチューブ長さ いろいろなカタログを見ていただいたらわかるのですが、小さいサイズでさえ500mmです。実は500mmより短くするのが難しいのです。なぜかというと、ここの寸法を短くすると前輪が自転車の真ん中に近づきます。するとどういう悪いことが起きるかというと、ハンドルを切った時につま先にタイヤが当たります。怖いですね。他にもヘッドアングルというのを無理やり寝かしてハンドリングが悪くなるなどいろいろな弊害が出てきているのです。

という事で、今回のオーダーフレーム 700Cというホイールサイズでなく650Bというサイズで製作することにします。650Bという規格ですと車輪径が50mm程度小さくなりますので、その分トップチューブの長さに自由度がでます。たまたまですが、コンチネンタルのグランプリ5000のタイヤの650×25Bと東京サンエスさんから650B用のカーボンフロントフォークが発売されていた事も助けになりました。
で、今回は大阪 堺のソウカワガレージさんのCornerで製作をお願いすることとなりました。
最初に当店からソウカワガレージさんに送ったオーダーシートがこちらです。汚い字ですみません。

サイズ関係に関しましては、乗車ポジションに係る点以外、お任せにしました。というか、すごくぎりぎりの寸法なのでお任せした方がよいという判断です。パイプなどもお任せ。ただでさえ小さいサイズで硬くなりますので、薄肉パイプで柔らかくして頂いてというお願いです。
うちの店のオーダー時のスタンスとして、乗車ポジションに関しては、寸法をこちらで出してお願いしますが、後の寸法はビルダーさんにお任せする事が多いです。もちろん、オーナー様のご希望で安定性重視とかであればBBを低くとか、クイックな操縦性でしたらトレール少なめでとか、できる範囲でビルダーさんと話をします。もちろんパイプの選定なども同じ様な感じでフレームの詳細を決めていくという感じす。

今回の場合の打ち合わせはBB下がりをどうするか?という点と、リアのダボをどうするか?といった点ぐらいでした。

打ち合わせが終わると、いよいよ製作にかかります。1人でやっておられるビルダーさんは、1本1本作っていかれる場合が多いので、作り始めればフレームの形になるのは早いです。
写真が、出来上がった時の写真です。
この後、塗装屋さんに送られます。Cornerさんの場合、ロゴやヘッドバッジなど何種類か選べます。また、ロゴの位置などもある程度選べます。塗装色もいろいろ選べます。もちろん単色だけでなく、多色塗 グラデーションとかいろいろできます。どこのビルダーさんも何社か塗装屋さんと付き合いがあるところが多いので、予算と塗装の仕上がりレベルで選ぶことになります。

塗装が上がって送られてきた状態から、ヘッド小物を組み込んだ状態です。スチールフレームの場合、店でフレーム精度を上げるための加工をしていきます。ボトムブラケットのねじタップとフェイス加工 ヘッド部のフェイス加工内径加工 リヤエンド取り付け部の角度確認修正 シートチューブ内径確認修正 ディスクブレーキ取り付け部確認修正といった項目が主なものとなります。

組みあがった写真がこちらです。

当初の要望にありましたバッグ類もちゃんと付きます。サドルバッグこの写真だとタイヤとのクリアランスがちゃんと取れていますが、実際乗っていると、取り付けのバンドが緩んだりとか、荷物の入れ方とかで、下がってしまったりとか、案外後輪とこするリスクが出てきます。

荷物が下がってしまったときに後輪とこすらないように簡易キャリアです。これでサドルバッグが後輪と当たることもなくなります。

完成車重量は8.4kg Di2仕様で油圧ディスクという事を考えると、かなり軽くできました。カーボンの部品を多用すれば8kgを切ることができるかもしれませんね。

オーダーから完成までの流れはこんな感じです。この時寒川ガレージさんが一番受注を抱えていた時で、1年少しかかってしまいましたが、今はもうちょっと早く出来上がってくると思います。
という感じで、欲しいものが具体的に決まっていれば、オーダーは案外簡単です。気楽にご相談いただけましたらと思います。
当店でのフレームオーダー可能なブランド
TOEI 柳サイクル Hiko Bixxis